今回、株式会社TOUCH TO GOによる高輪ゲートウェイ直営店に続く2例目で、紀ノ国屋社としては初の無人決済店舗オープンとなった。高輪ゲートウェイでも無人レジに慣れない高齢者が決済で戸惑ったりする場面があったため、運用面などにおいてノウハウの蓄積が必要になってくる。それに並行して社会全体では非対人店舗やキャッシュレス化が進むため、それらを扱うリテラシーも培われてくる。そうした中でも、コロナ禍の影響による今後のニューノーマルになる無人決済店舗を先陣を切って、日本で初めて有人レジのスーパーマーケットを始めた紀ノ国屋が初めて店内無人の店舗を始めたのも意義深く、未来の店舗から身近な店舗へとどのようにブランディングデザインを手掛けるかも運営側と一体となってブランディングをつくっていく場面が必要不可欠となってくるだろう。
高級スーパーの紀ノ国屋によるKINOKUNIYA entree目白駅店から無人決済店舗へのリブランディングプロジェクト。弊社では店舗設計に限らず、ブランドネーミングやブランドコピー、ロゴデザインを含むヴィジュアルアイデンティティを手掛けた。
紀ノ国屋では「KINOKUNIYA entree(アントレ)」「グルメマーケット紀ノ国屋」「デイリーテーブル紀ノ国屋」などのブランドが存在する。これらには「上質」「伝統」「楽しめる」といった日本で初めてスーパーマーケット業態を始めた歴史やクオリティが体現化されている。まずブランドネーミングには認知されている高級スーパー=紀ノ国屋に対義する言葉や気軽さを付与することによって、ITに身近な若年層などにも紀ノ国屋を知ってもらえる機会と捉えた。更に、無人決済というハードルの高さも、英語でもフランス語でもなく、日本語で分かり易い擬態語のような馴染むネーミングであれば、気軽に立ち寄ってもらえるという点も熟慮して、「KINOKINIYA Sutto(キノクニヤ スット)」とした。
ブランドコピーは、“スッと、寄るだけで楽しい紀ノ国屋。”とし、シンボルカラーには日本の伝統色である天色(あまいろ)とした。一般的に食品系のジャンルにおいて、青系統のカラーはタブーとされがちだが、その既成概念を超えることが無人決済店舗という新たな概念にも通じるマーケティングとした。喉越しが良く、スッキリと、スッと気軽に等の爽やかなカラーをイメージし店舗のVIにも反映させ、ポスターには身近に気軽に寄れる写真として、山手線が微かに映る青く爽やかな青空をベースとしデザインした。
ブランドステートメントには、
“
スッと寄るだけで楽しい紀ノ国屋。
”
とし、新たな顧客と既存顧客にも共感してもらえるよう、上質で楽しめる雰囲気を基軸にニューノーマルな新たな時代へのステートメントとした。
店舗デザインにおいては、予算の都合上でゾーニングの変更に伴う補修程度の簡単なリニューアルのデザインのみとなったが、床壁のサインと決済什器、一部壁面と一ヶ所の照明をデザインする事になった。この店舗の場所は目白駅改札外にある環境で、あまり目立たないため、ファサードにはまずインパクトを与える必要があるのと、無人決済店舗という新たな試みでどんな店舗かを分かり易くするため、店内の様子が見えつつ、スポットが当たるようなデザインを企図。外床と自動ドアのサインによって照明が照らされたようなイミテーションのデザインとし、改札側からも見えるよう常閉防火戸にもポスターと同等のデザインのシートを施した。店内壁面には上質さを保つためモダンフレンチシックなデザインとして濃いめのブルーを反復させ、天井カメラに影響のないようミラーボール球を使用した真鍮板の間接照明を造作でデザインした。
今回、株式会社TOUCH TO GOによる高輪ゲートウェイ直営店に続く2例目で、紀ノ国屋社としては初の無人決済店舗オープンとなった。高輪ゲートウェイでも無人レジに慣れない高齢者が決済で戸惑ったりする場面があったため、運用面などにおいてノウハウの蓄積が必要になってくる。それに並行して社会全体では非対人店舗やキャッシュレス化が進むため、それらを扱うリテラシーも培われてくる。そうした中でも、コロナ禍の影響による今後のニューノーマルになる無人決済店舗を先陣を切って、日本で初めて有人レジのスーパーマーケットを始めた紀ノ国屋が初めて店内無人の店舗を始めたのも意義深く、未来の店舗から身近な店舗へとどのようにブランディングデザインを手掛けるかも運営側と一体となってブランディングをつくっていく場面が必要不可欠となってくるだろう。