飲食店の水道光熱費の相場ってどのくらい?気になる削減方法も解説

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記事の監修・執筆者:古川原

飲食店の水道光熱費の相場ってどのくらい?気になる削減方法も解説

飲食店を開業すると、必ず発生するのが電気代・ガス代・水道代といった「光熱費」です。
これらは実際に月々どのくらいかかり、どのように削減できるのでしょうか?
これから飲食店を開業される方や、すでに経営されている方のために、特に注意すべき「水道光熱費」の目安と削減のポイントについて解説します。

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飲食店経営にかかる固定費と変動費とは?

水道光熱費はどれくらいが適正なのか考えるためには、飲食店の経費全体について知る必要があります。
飲食店の経費でかかるものは、大きく2つに分けられます。それが「固定費」と「変動費」です。

まず、固定費とは売上の増減に関係なく、常に一定の期間で発生する費用のことです。
固定費は不可避な支出であるため、開業前にその必要額を正確に把握しておくことが重要です。
具体的には以下のような項目が挙げられます。

  • 場所代(家賃)
  • 人件費
  • 保険料
  • 通信費
  • 光熱費の基本料金
  • 減価償却費
  • 支払利息

次に、変動費とは売上高や生産量によって増減する費用のことを指します。
具体的には以下のような項目が挙げられます。

  • 食材費
  • パート・アルバイトの人件費
  • 水道光熱費
  • 広告宣伝費
  • 消耗品費
  • 修理費

利用客が増えると、それに伴い食材費や人件費などの変動費も増加します。
これらの費用は無闇に削減すると、かえってサービスや商品の質の低下につながる可能性があります。
しかし、今回取り上げる「水道光熱費」は、季節や店舗の規模によって多少の変動はあるものの、 工夫次第でサービスの質を維持しつつ、経費を削減して利益率を向上させることが可能です。

飲食店の水道光熱費の相場

それでは、飲食店における水道光熱費の相場はどの程度なのでしょうか。
水道光熱費は飲食店の規模・形態・季節によって変動するため、売上に対する割合で考えるのが一般的です。

売上に対する相場

水道光熱費を含む変動費自体は、売上の約6~7割が目安です。
その中でも、飲食店の水道光熱費の平均は、売上の5%~8%と言われています。
ただし、水道光熱費は飲食業態による差が大きいため、あくまでも目安としてお考えください。

例えば、スープを長時間かけて煮込むラーメン屋や、ドリンクの提供が多い居酒屋は、他業態に比べて水道光熱費が比較的高い傾向にあります。
ラーメン屋の水道光熱費の相場は、売上の5%〜10%、居酒屋は5%〜7%と言われています。

店舗面積からみる金額の目安

飲食店の経営指標として、一坪当たり月にいくら売り上げているかを示す「坪月商」というものがあり、 この坪月商が20万円〜30万円ほどあれば、繁盛している店舗と言われています。

例えば、この坪月商が20万円の店舗であれば、水道光熱費を5%として月額約1万円が水道光熱費の目安と見積もることができます。
飲食店の開業を検討されている方は、水道光熱費は売上の5%程度に抑えることを目標として、コストの最適化を目指してみてください。

また、既に飲食店を経営されている方も固定費・変動費の見直しは定期的に行うことをおすすめします。
水道光熱費を含む無駄な出費がないか一度見直し、相場を元に目標設計を立ててみましょう。

飲食店の水道光熱費を抑えるには?

水道光熱費は、必ず発生する支出であり、劇的に削減することは難しいでしょう。
しかし、毎月継続的にかかるコストであるため、将来「もっと早く見直しておけばよかった」と後悔しないよう、日頃から「水道代・ガス代・電気代などの変動費がどれくらいかかっているのか?」や「なぜ以前に比べて増加しているのか?」といった点を即座に確認できるように、お金の流れを見える化することが重要です。

水道代の見直しポイント

1. 節水設備の導入の検討

節水設備とは主に「業務用食洗機」のことを指しています。
業務用食洗機を導入することで、手洗いよりも水道代を抑えることができるのはもちろんですが、水道代だけでなく業務効率化として人件費の削減にも繋がります。
新品で購入すると、約30万円前後となりますが中古では10万円前後で購入できる場合もあります。

節水設備の導入の検討

2. つけ置き洗いを徹底する

つけ置き洗いを徹底することで、水道代を大幅に削減することが可能です。
ただし、単に水に浸けておくだけでは効果は期待できません。 効果的につけ置き洗いを行うためには、40℃以上のお湯をシンクに張り、少量の洗剤を追加してください。 こうすることで頑固な油汚れも落としやすくなり、食器一枚あたりに使う水の量を大幅に減らすことができます。

3. 下水道代の減免措置を受ける

飲食店の業態によっては、水道代が減免されることがあるのをご存知でしょうか?
減免の規定は、地域によっても異なりますので、まずご自身の店舗が対象になるのかチェックしてみましょう。
申請は地域の水道局で行うことが可能です。

一例として、東京都では以下のような業態が下水道料金減額の対象となっています。

  • パン製造小売業
  • 魚介類小売業
  • 日本そば店
  • 中華そば店
  • 大衆すし店
  • 民生食堂・大衆食堂
  • そうざい製造業、他

減免内容は1月当たり50m³を超え200m³以下の汚水排出量1m³につき5円を乗じて得た額に100分の110を乗じて得た料金となります。

参考:水道料金・下水道料金の減免のご案内 | 東京都水道局

4. スタッフに節水の周知を行う

「塵も積もれば山となる」ということわざの通り、ちょっとした意識の違いが後々の変化に影響していきます。
普段からスタッフ全員に節水に対する意識付けを行うことが大切です。
ミーティングで定期的なアナウンスを心がけたり、水回りに節水の注意喚起のステッカーを貼るなど、皆で節水対策を行うことを意識していきましょう。

ガス代の見直しポイント

1. 効率的な機器選び

ガス機器を選ぶ際には、その効率性を重視しましょう。
商品がリリースされるたびに最新のものを購入するのは難しいと思いますが、最新の機器は古いモデルと比べて熱効率が高いものが多く、同じ調理に必要なエネルギーを大幅に削減できます。
古い機器を無理に使い続けていては、かえってガス代がかかる可能性があるため、長年同じ機器を使われている方は一度見直してみるのもおすすめです。

また、必要以上に容量やパワーの大きな機器を選ぶと、無駄にガスを消費することになりますので、店舗の規模や調理量に合った機器を選ぶことが重要です。

2. 調理方法の見直しを行う

調理方法によってもガスの使用量は大きく変わります。
例えば、煮込み料理は一度沸騰させた後、弱火でじっくりと煮込むことが多いですが、その時に蓋をするだけでも大幅に熱効率を上げられます。
また、予熱に時間がかかる料理は、一度に多めに作っておき、必要に応じて温め直す方がガス代を効率よく削減することができます。

3. メンテナンスを定期的に行う

ガス機器は定期的なメンテナンスが重要です。
不完全燃焼を起こしていると、ガスの無駄遣いにつながるだけでなく、安全面においてもリスクが高まります。
炎の色をチェックして青色が強い状態を保ち、異常があればすぐに専門家に見てもらうようにしましょう。

電気代の見直しポイント

1. エアコンの清掃を行う

飲食店では、油を多く使用し、人の出入りも頻繁なため、油汚れやホコリが発生しやすくなります。
そのため、空調を効率的に保つには、定期的にエアコンの清掃を行うことが大切です。
日常的な掃除は自分でも可能ですが、季節の変わり目である夏や冬には、業者に依頼して細部までしっかりと洗浄してもらうことをおすすめします。

エアコンの清掃を行う

さらに、エアコンの下にプロペラファンを導入するのも効果的です。
プロペラファンは、エアコンの風をフロア全体に均等に広げる装置で、設置することで空調効率が向上し、消費電力を約20%削減できるとされています。
また、席ごとの温度差を防ぎ、「暑すぎる」「寒すぎる」といった不満を解消することで、顧客満足度の向上にもつながります。

2. 電気をこまめに消す

一見簡単なことに思えますが、スタッフに電気代の節約を意識させることは非常に重要です。
ランチとディナーの間など、調理を行わない時間帯には、照明だけでなく換気扇もこまめに切るよう心がけましょう。

また、お客様にも協力をお願いするのも一つの方法です。
例えば、トイレの壁に「使用後は電気をお切りください」といったチラシを貼るなど、店舗全体での取り組みが大切です。

3. 電子ブレーカーを導入する

業務用エアコンなど200V電源を使用する機器がある場合は、電子ブレーカーの導入を検討するのもおすすめです。
電子ブレーカーは、契約電力の基本料金を抑えるために開発された装置です。
機器は起動時に最も多くの電力を消費しますが、電力の契約容量はこのピーク時に基づいて決められます。 電子ブレーカーは、起動時の電力消費を抑える機能があり、その結果、基本料金が低いプランに変更できる可能性があります。

ただし、電子ブレーカーには違法なものがあったり、電力会社に正式な申請を行わずに設置されるケースもあるため注意が必要です。
依頼する際は、JET(一般財団法人電気安全環境研究所)のPSEマーク(第三者認証マーク)を取得している商品を扱っているか、取り付け工事の際に電力会社に正式な申請を通しているかなど、信頼できる業者かどうかを確認したうえで進めましょう。

参考:電気と安全な暮らし~もっと詳しく!~ | JET 一般財団法人 電気安全環境研究所

まとめ

今回は水道光熱費の相場や削減方法についてご紹介しました。
これから飲食店を始める方は、「固定費」と「変動費」をしっかりと把握し、経営設計の中で光熱費を売上の5%以内に抑えることを目標に、身近な対策から取り組んでみてください。
既に飲食店を経営されている方も、利益を最大化するためには固定費や変動費の見直しが欠かせません。
まだ実践していない削減方法があれば、ぜひ試してみてください。

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記事の監修・執筆者

  • 株式会社ライフワン 古川原

    保有資格:
    2級建築士
    第2種電気工事士
    一般建築物石綿含有建材調査者
    石綿作業主任者

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