分割の冗長性
低い梁が大きな空間の密度を凝縮させ、場所性を強調し、連続反復する梁は、空間の連続性を、住まい全体に印象付けることになる。そして、梁はまるで、建物の構造形式が変化したかのように、建物を象徴する合理的な躯体ように見えてくる。間取りを変化させるリフォームではなく、建物の骨格を造り替えているような。挿入された設備スペースは、全体に広がることによって、単なる設備スペースという概念から、建物の骨格という概念に変わる。梁を追加するという、一見過剰に思える、分割の冗長性(Redundancy of Division)によって、新たな骨格をつくるリノベーションである。壁式構造の団地ゆえに導き出された、ひとつの普遍解として成立すると考えている。
2020 第37回住まいのリフォームコンクール 優秀賞
2021 JACK 全国リフォームアイデアコンテスト2021 審査員賞
・改修背景
築33年、RC壁式構造の団地は、階高2600mm、天井高2350mmの典型的な階高圧縮型の建物であり、壁式構造ゆえに、大きな梁がLDK等の部屋を分断していた。また、躯体に埋め込まれた配線は、容易に位置を変更できない為、長年の暮らしの変化によって、エアコンの増設・IHの導入・給湯器の更新・テレビの位置変更等に伴い、多くの配線が室内に露出せざるを得ない状況にあった。
・設計意図
部屋を大きく分断していた梁下1850mm、梁背450mmの既存の梁の存在感をカモフラージュするように、既存の躯体に沿わせて、梁に模した設備スペースを住まい全体に廻らせた。これにより、自由な配線計画が可能になりながらも、梁は人の動線に干渉しない為、施主の要望に合わせた自由なプラン構想が可能となった。
分割の冗長性
低い梁が大きな空間の密度を凝縮させ、場所性を強調し、連続反復する梁は、空間の連続性を、住まい全体に印象付けることになる。そして、梁はまるで、建物の構造形式が変化したかのように、建物を象徴する合理的な躯体ように見えてくる。間取りを変化させるリフォームではなく、建物の骨格を造り替えているような。挿入された設備スペースは、全体に広がることによって、単なる設備スペースという概念から、建物の骨格という概念に変わる。梁を追加するという、一見過剰に思える、分割の冗長性(Redundancy of Division)によって、新たな骨格をつくるリノベーションである。壁式構造の団地ゆえに導き出された、ひとつの普遍解として成立すると考えている。