おしゃれな飲食店を作る店舗デザインのコツと、店舗におしゃれさが求められる理由

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記事の監修・執筆者:古川原

おしゃれな飲食店を作る店舗デザインのコツと、店舗におしゃれさが求められる理由

飲食店を開業する方から、提供するメニューには自信があるけど、店舗デザインについてはいまいち分からないというお声をいただくことがあります。おしゃれな店舗デザインはお客様に喜んでいただけるということは理解しているけど、じゃあどんなお店がおしゃれなんだろう?そもそもおしゃれって何…?と袋小路に迷い込んでしまう方も。

飲食店はおいしい飲食物を提供することに比重が置かれるお店ですし「こんな店舗デザインにしたい!」とはっきり思い描ける方ばかりではありません。ですからもし、お店のデザインはどう決めたらいいのだろう?おしゃれな店舗にしたいけど、自分のセンスでできるだろうか?と不安に思っておられる方がいたら、ぜひこの記事を読んでいただければと思います。

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飲食物の店舗デザインでおしゃれさが求められる理由

「飲食店をオープン予定だけど、店舗のおしゃれさってやっぱり大事でしょうか?」
「お客さんって、そこまで店内とかインテリアを見ているものですかね?」
と質問をいただくことがあるのですが、店舗デザインのおしゃれさは非常に重要です。かなり見られていますよ。

なぜ重要なのか、これには3つの視点があります。PRになること、店舗の差別化になること、従業員のモチベーション向上になることです。

おしゃれな店舗デザインは宣伝に役立つ

店舗デザインのおしゃれさがなぜ重要かというと、宣伝に役立つことが最も大きな理由でしょう。お店がおしゃれだと宣伝=知ってもらうきっかけになるからです。どんなにおいしい飲食物を提供していても、知ってもらって来店してもらえなければ、運営はかなり厳しい展開になってしまいます。

飲食店には非日常感を求める人が多い、という言葉を聞いたことはありませんか?飲食店へ足を運んで飲食するということは「食事をする」という行為でもありますが、それと同時に「空間を体験すること」「体験にお金を払うこと」です。
この「空間」は、提供される飲食物の素材やビジュアル、エピソード、うつわのデザイン、椅子やテーブルをはじめとしたインテリアデザインのコンセプト、窓からの景色などなど、多くのものを総合した言葉です。自分の家と同じような空間で同じような食事をとることに、わざわざ金銭を費やそうとは思いませんよね。お客様は、色んな要素をひっくるめた「自宅とは違う特別な空間・体験」にお金を払うのです。

カフェでSNS投稿用の写真を撮る人のイメージ

そして現在、InstagramやTwitter、Facebookなどの様々なSNSが隆盛であることは明らかです。たくさんの人が、行ったお店や食べたもの、飲んだものを写真に撮ってインターネット上で発信しています。SNSでの発信はお客様が宣伝を買って出てくださっているようなものとも言え、店舗にとってとてもありがたいものです。
アップされるのは、やはり投稿者が魅力的だと感じたもの。写真や動画になった時おしゃれだったりインパクトがあるものは「みんなに発信したい」「拡散したい」と思われやすく、SNS的にとても魅力的=店舗の宣伝につながるのです。
SNSによる拡散力、口コミの威力は目を見張るものがあります。おしゃれな店舗デザインは宣伝に役立つことを、しっかりと意識しておきましょう。

おしゃれな店舗で差別化をはかる

提供する飲食物を引き立てるおしゃれな店舗デザイン、お店のコンセプトや世界観が伝わる店舗デザインは、他店舗との差別化という観点からもとても大切です。ブランディング力を上げることでもありますね。
例えば、近いエリアに同じ飲食物を提供している店舗がいくつかある場合を想定してみましょう。あなたの店舗のデザインがおしゃれで魅力的であれば、お客様にとって「このお店に行きたい」という理由付けになり、競合店舗から抜きん出ることができます。お店独自の世界観に浸れるような店舗デザインがされていれば、ファンになってくださったお客様がリピーターになってくれる確率も高くなり、後発店舗への顧客流出防止策にもなります。

飲食店が飲食物だけで勝負する時代は終わり、飲食物+おしゃれさ、飲食物+体験のインパクトといった付加価値で差別化をはかっていく時代になったのかもしれませんね。

海の見えるカフェのイメージ

店舗スタッフのモチベーションアップ

おしゃれな店舗デザインの侮れない効果として、店舗で働く従業員のモチベーションアップがあります。
素敵だと思えるお店で働くことが、そうでない店舗で働くことに比べ、業務に対して意欲的になれるであろうことは容易に想像できますよね。スタッフから店舗に対する好感は帰属意識や貢献意欲へとつながっていて、最終的に定着率の向上が期待できます。離職率の低下と言い換えても良いでしょう。

スタッフがなかなか定着せず頻繁に採用活動をしなければならない状態は、店舗運営においてかなりの負荷になります。ベテランが育たないので、現場のオペレーションも練度が上がっていきにくい→お客様に十分なサービスが提供できない→高評価につながらない、と悪循環に陥ることも考えられます。
おしゃれな店舗デザインはスタッフのため、というわけではないのですが、見過ごせないポイントとして挙げさせていただきました。

飲食店をおしゃれにデザインしたい時のチェックリスト

どれだけ店舗デザインがおしゃれであっても、方向性を間違えると提供する飲食物とちぐはぐになり、お店への印象がぼやけてしまったり、好感を持っていただけない危険性があります。
そこでおしゃれな飲食店の店舗デザインを作る時、常に意識していただきたいポイントは次の2つです。
1.提供する飲食物、サービスのコンセプトに合致しているか
2.SNS映えを意識したデザインになっているか

1.提供する飲食物、サービスのコンセプトに合致しているか

飲食店は空間・体験を提供する場でもあると先程書きました。お店の最大の売りである飲食物と、店内や外観のデザインはマッチしたものになっているか?が大変重要です。
ファサードと室内でデザインの主軸となるカラーや素材を設定する、モチーフを共通させるといった点を意識すると良いでしょう。

外観と店内インテリアの統一感も大切です。
食べログやGooglemapの口コミなどでも店舗の様子を知ることができる時代とはいえ、やはりお客様は店舗の外観を見て中の様子を想像し、入店されます。入ってみたら外観イメージと全く違ったとなると、お客様の期待を裏切ってがっかりさせてしまい、満足にはつながりません。再来店にも期待できなくなってしまいます。

2.SNSでの映えを意識したデザインになっているか

写真、動画に撮った時どう映るか?という視点を持っておこうということですね。今のお客様はおしゃれ感度の高い方も大変多く、そういった方々は魅力的なものの判断力に長けています。言い換えれば、映えるかどうかにシビアであるということ。

店舗デザインでは、飲食物を提供する時のうつわ選び、照明の明るさ、背景に映り込むものに至るまで、細かなところにも配慮することが大切です。設計段階で考えるのは難しいかもしれませんが、最終的にお客様が撮影する時にどうお感じになるかを念頭に置いておくだけでも随分違ってきます。
プレートを撮影するならどの角度から撮るだろうか?ドリンクをどんなふうに持って、どの面を写すだろうか?といったように、実際に撮影する様子を思い描きながらSNSでの映えを考えていきましょう。

SNS投稿のためiPhoneで写真を撮る人のイメージ

おしゃれな飲食店の店舗デザインをしたい時のチェックポイントをご紹介しました。統一感、お客様目線の2つがキモということですね。
ワンランク上の店舗デザインだと、外観で抑えめに世界観を表現し、店内に一歩踏み込むと同じ世界感が徹底的に作り込まれているといった例もあります。そんなデザインができれば、お客様にとってはたまらない魅力になりますよね。このお店に行ったことをSNSで発信したい!と思っていただきやすくなりますし、何度も通いたくなるものです。

おしゃれな飲食店デザインの、参考事例の集め方

おしゃれな店舗デザインの参考事例集めは、建築設計事務所等への依頼前に、ぜひしておきましょう。打ち合わせがスムーズになるだけでなく、既存店舗のリサーチやトレンド調査を通してデザインイメージを膨らませるなど、得るものも非常に多いはずです。
事例の集め方はいくつかありますので、別記事にまとめています。打ち合わせに使う資料の作り方などについても解説していますので、ぜひこちらの記事もご一読ください。

飲食店の内装をおしゃれにしたい時おすすめの、資料の集め方とデータのまとめ方

既存店舗の参考事例を集める時には、先程ご紹介した
1.提供する飲食物、サービスのコンセプトに合致しているか
2.SNS映えを意識したデザインになっているか
という2つのポイントも頭の隅に置いておきましょう。もしイメージが掴みきれていなくても、ポイントに照らし合わせながら参考イメージを集めていくことで、自分の中の「おしゃれな店舗デザイン」「どんなデザインがおしゃれなのか」が固まってくるはずです。

スターバックスに学ぶ、おしゃれな店舗デザイン

参考事例の集め方と似た面もありますが、既存店舗を観察することも、おしゃれな飲食店をデザインするのに有効です。参考にする店舗は
・自分の開業する店舗と共通する要素がある
・人気店

というポイントを押さえておくと、より有用です。提供する飲食物やデザインテイストに共通点がある方がより多くの学びが得られますし、人気店はオペレーションなど、店舗デザイン以外の面でも参考になることが多いからです。

カフェで提供されるコーヒーのイメージ

ではひとつの例として、コーヒーを売りにしたカフェを開業予定だと仮定した場合、スターバックスは非常に参考になるでしょう。提供する飲食物も共通していますし、全国各地で人気のお店です。そして銀座に日本1号店ができたのが1996年ということですから、運営期間も長い=現在のスターバックス店舗には店舗デザイン・運営ノウハウが詰まっているといえます。

そして、私が今回スターバックスを取り上げたのには大きな理由があります。それは非常に特徴的なデザインの店舗がたくさんあるということです。デザインテイストが多岐に渡るので、イメージを膨らませるヒントを得やすいのではないでしょうか。
リージョナル ランドマーク ストアという店舗は、これからおしゃれな店舗を作り上げたいという方にとって、特に参考になると思います。公式サイトから説明を引用すると、

「スターバックス リージョナル ランドマーク ストア」は、日本の各地域の象徴となる場所に建築デザインされ、地域の文化を世界に発信する店舗の総称です。訪れる人々がその地域の歴史や伝統工芸、文化、産業の素晴らしさを再発見し、その発見を通じて地域へ絆を感じられるよう、様々なローカルのデザインエレメントを織り込んでいます。

とのこと。2023年5月現在、北は北海道から南は沖縄まで、20店舗以上が展開されています。
アート作品などの飾り方や外部のロケーションとの調和も考え抜かれていて、魅力的な店舗デザインが集客を左右するパワーを持つことがよく分かります。可能ならば何店舗か、実際に足を運んでみるのがおすすめです。

まとめ

おしゃれな飲食店を作る店舗デザインのコツや情報収集方法について、様々な観点からまとめました。

なぜ店舗デザインにおしゃれさが必要なのか、どんなメリットがあるのか、参考事例はどう探せばいいのか。店舗をおしゃれにしたいといってもどこから始めればいいか分からない、という方の参考になれば幸いです。既存のおしゃれな店舗なども参考にしながら、あなたのコンセプトを余すところなく伝えることのできる、魅力的なお店を作っていってください。

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記事の監修・執筆者

  • 株式会社ライフワン 古川原

    保有資格:
    2級建築士
    第2種電気工事士
    一般建築物石綿含有建材調査者
    石綿作業主任者

    記事の監修・執筆者近影

    店舗設計施工.com運営担当の古川原です。施主様、店舗デザイン・内装工事・建築工事会社様にも満足いただけるよう皆様をサポートさせていただきます。
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