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記事の監修・執筆者:古川原
店舗開業にあたり、非常に大きな予算を割り当てることになる内装工事費用。この内装工事費用は開業費ではなく、減価償却資産として考えます。
確定申告などの際、内装工事費用の扱いはとても重要です。しかし聞き慣れないワードだったり、難しく感じてなんとなくしか理解していない方も多いようです。そこでこの記事では内装工事費用の耐用年数と減価償却について、分かりやすくまとめていきたいと思います。
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1.なぜ耐用年数と減価償却について知る必要があるのか
内装工事費は高額かつ長期的に使用できる「減価償却資産」となります。耐用年数と減価償却は必ずついて回ります。
減価償却資産は年度ごとの経費とは異なり、その価値がなくなるまでの間、複数年にわたって分割で経費に計上できます。そして、耐用年数をもとにした計算で、何年間経費計上できるのかが決まるのです。
もちろん内装工事のあらゆるケースで適用されるわけではなく、一括償却する場合もあります。申告方式が異なったり、内装工事の内容によっては消耗品費や修繕費として計上することもありますね。不明点が出た場合は、必ず専門家に相談するようにしてください。
2.減価償却費の計算イメージ
内装工事費用が600万円で、耐用年数が6年と仮定します。この場合、600÷6=100、つまり100万円ずつ6年にわたって経費計上することになります。非常におおまかなものですが、これが減価償却費の計算イメージです。
なぜ内装工事費用で減価償却をするのか
まず、内装工事費用を減価償却することで、先程のケースでは毎年100万円の経費が出ることになります。その分利益が抑えられますから、複数年にわたって節税効果があります。
また、内装工事費用が600万円だったとして、もし1年目で全て経費計上したとします。翌年からは0円ですね。
この場合、1年目と2年目の黒字・赤字を考えてみてください。1年目は大きく赤字、2年目以降は黒字になるだろうと予想できます。こうなると、店舗の業績を正しく見ることができません。
耐用年数にもとづいて経費計上を正しく行うことで、より正確な店舗利益の推移を見ていくことができます。
3.耐用年数というワードの意味に注意
普段の会話の中で耐用年数という言葉が出てくることもあるかもしれません。そういった場合は「寿命」「使用可能な年数」といったニュアンスになることが多いですね。使い方により年数は変わりますし、個人の感じ方にも左右されます。
ただし、会計上では「社会的に見た場合の価値」という意味合いになり、年数が定められています(ものにより何年かは違います)。
項目ごとの耐用年数の例
内装工事費用の減価償却試算の耐用年数は、細かく規定があります。判断に悩んでしまうものもあると思いますが、そういった場合は税理士へ相談するようにしましょう。
細目は多岐にわたりますので、少しだけご紹介します。内装工事だけでなく、住宅用の場合や面積により異なるものも掲載していますので、場合により耐用年数が異なることも確認していただけます。
構造・用途 | 細目 | 耐用年数 |
---|---|---|
木造・合成樹脂造のもの | 事務所用のもの | 24年 |
店舗用・住宅用のもの | 22年 | |
飲食店用のもの | 20年 | |
旅館用・ホテル用・病院用・車庫用のもの | 17年 | |
公衆浴場用のもの | 12年 | |
工場用・倉庫用のもの(一般用) | 15年 | |
鉄骨鉄筋コンクリート造・ 鉄筋コンクリート造のもの |
事務所用のもの | 50年 |
住宅用のもの | 47年 | |
飲食店用のもの 延べ面積のうちに占める木造内装部分の面積が30%を超えるもの |
34年 | |
飲食店用のもの その他のもの |
41年 | |
旅館用・ホテル用のもの 延べ面積のうちに占める木造内装部分の面積が30%を超えるもの |
31年 | |
旅館用・ホテル用のもの その他のもの |
39年 | |
店舗用・病院用のもの | 39年 | |
車庫用のもの | 38年 | |
公衆浴場用のもの | 31年 | |
工場用・倉庫用のもの(一般用) | 38年 |
構造・用途 | 細目 | 耐用年数 |
---|---|---|
アーケード・日よけ設備 | 主として金属製のもの | 15年 |
その他のもの | 8年 | |
給排水・衛生設備、ガス設備 | 15年 |
国税庁のサイトで耐用年数が確認できます
内装工事をする中で、何が耐用年数何年かについては、国税庁サイトや国税庁の確定申告書等作成コーナーで確認することができます。表になったものも公開されていますので、ぜひチェックしてみてください。
「内装工事における○○の耐用年数は○年」といった書き方はされていませんので、不安に感じる場合は税理士への相談をおすすめします。
まとめ
内装工事費用の耐用年数について、減価償却も絡めてご紹介しました。基本的なポイントを押さえておくことで、これから導入したい内装工事についての判断がしやすくなることと思います。内装工事は金額的にかなり大きなものになりますから、ぜひ一歩踏み込んで、把握しておきたいところですね。
とはいえ、判断が難しい場合も多々あるものですから、税理士へ相談しながら進めることをおすすめします。
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記事の監修・執筆者
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株式会社ライフワン 古川原
保有資格:
・2級建築士/
・第2種電気工事士/
・一般建築物石綿含有建材調査者/
・石綿作業主任者店舗設計施工.com運営担当の古川原です。施主様、店舗デザイン・内装工事・建築工事会社様にも満足いただけるよう皆様をサポートさせていただきます。
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