飲食店開業に必須の消防検査の流れ、内容、ポイント

飲食店開業、また改装工事などの際に必要になるのが消防検査。
開業時などは特に、保健所の営業許可が下りるかどうかに意識がいきやすいのですが、飲食店は調理のために火を使う設備（厨房）などを備えていることがほとんど。消防検査もマストですので、事前にしっかりポイントを抑えておきましょう。
一般的に消防検査は業者の方へお任せすることが多いのですが、基本知識を持っておくことで対応もスムーズになるはずです。

1.消防検査とは

まず、消防検査そのものについて解説しましょう。

消防検査は、正式には「消防用設備等の設置完了検査」といいます。
・消防用設備等の設置状況
・それぞれの設備が適切に機能するかどうか
といった点を、消防機関によって設置段階（または建物の使用開始前）に検査することを指します。消防用設備等の不備、不具合、そして法令に準しているかどうか、さらには未設置の設備がないかといったこともチェックします。
消防検査をクリアして発行されるのが、消防用設備等検査結果済証です。

なお、自治体によって申請様式などが異なる場合もあります。ご自分でお調べになる場合は、必ず出店場所の地方自治体の消防検査について調べるようにしましょう。

既存建物にテナント入居している飲食店の場合の消防検査

防火対象物使用開始届出の提出、間仕切り変更に伴う消防設備設置届出の提出を行います。そして届け出に沿って消防検査を行います。
不備があった場合は、是正しないと消防検査結果通知書や検査済証は発行されないため、飲食店を開業することはできません。確実に行うことが求められます。

新築の飲食店の場合の消防検査

防火対象物使用開始届の提出、消防設備の設置届の提出を行い、消防検査を行います。各市区町村と建物規模によっては、写真だけの提出で検査が終了する場合もあります。

2.押さえておきたい、消防検査のチェックポイント

飲食店の消防検査で見られるポイントは、内装工事等で防火管理上の支障が発生していないか、必要な消防設備がきちんと設置されているか、などの点です。
必要な消防設備ですが、飲食店は火を使うことの多い施設ということもあり、消火設備、警報設備、それから避難設備といった設備ですね。

それから、飲食店では店舗の収容人数が30人を超える場合において、防火管理者がいるかどうかも確認されます。この収容人数は席数だけではなく、スタッフも含まれる点を押さえておきましょう。

3.消防検査、消防設備点検、立入検査の混同に注意

混乱しやすいのですが、消防検査、消防設備点検、立入検査はそれぞれ別のものです。

消防検査

原則として1度です。無料で、検査は消防士により行われます。

消防設備点検

さらに機器点検と総合点検があります。機器点検は6か月に1回、総合点検は1年に1回（どちらも消防用設備等の種類等に応じたもの）の点検が義務づけられています。
消防設備点検は有料で、消防設備士による検査・報告となります。

立入検査

不定期に行われる検査で、消防士により行われます。抜き打ちの場合があります。

4.飲食店でよく導入される消防設備

飲食店では、消火器、屋内消火栓、スプリンクラー、自動火災報知設備、非常警報設備といったものがよく導入されています。
間違えやすいものとして、消火器が挙げられます。以前は飲食店の面積によっては設置不要な場合があったのですが、2019年の消防法改正により、原則として飲食店の面積にかかわらず、全ての飲食店に消火器具の設置が義務付けられています。

消防設備は多数あり、設置基準は延床面積によるなど様々ですので、各設備ごとにお調べいただくことをおすすめします。

まとめ

飲食店開業、改装などでもマストとなってくる消防点検。その基本的な知識をご紹介しました。飲食店の主たる業務とは異なる分野ですが、店舗の運営にあたっては必須の内容です。
ご自分ですべて対応することはあまりないと思いますが、業者へ依頼するにあたっても知識は大切です。どのようなことが行われ、何が必要かは知っておきたいですね。