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記事の監修・執筆者:古川原
店舗開業にあたり、東京で店舗を構えたいというお問い合わせをよくいただきます。関東近郊だけではなく、様々なエリアの方からお問い合わせがあります。
業種や業態により店舗といっても必要なデザイン設計、工事は変わってくるため一口には言えませんので、今回は飲食店の東京出店時に関するエリアの知識や店舗デザインのポイントをまとめていきたいと思います。
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東京の人口の多さ
東京は人が多い、とはよく聞く話ですが、まずは他の都道府県とどれほど違いがあるのかを、ここでまとめてみたいと思います。
総務省統計局が定期的に人口推計の結果を公開しているのですが、2023年5月22日公表の現在人口(全国:年齢(5歳階級)、男女別人口)によると
1位:東京都…1403万8千人
2位:神奈川県…923万2千人
3位:大阪府…878万2千人
4位:愛知県…749万5千人
5位:埼玉県…733万7千人
となっています。東京都は人口2位の神奈川県よりも480万人以上多く、ぶっちぎりと言っていいでしょう。なんと東京だけで全国人口の11.2%を占めている計算になります。
人口の母数が大きいということは、店舗としてもお客様となりうる人口が多いということですので、出店における大きな魅力。東京で店舗を構える理由としても大変多いものです。
東京で飲食店を開業するにあたって知っておくべきこと
魅力的なエリアということは、ライバルが多かったり費用が上がることが多かったりと、デメリットとして知っておくべき側面もあります。また、東京ならではの事情についても知っておくと良いので、合わせて解説していきましょう。
東京出店のデメリット 賃料、人件費などが高額
東京は土地が高いため、特に23区内となると、他の都道府県よりも家賃が高額です。広さが同じ物件を比べた時、他県の2倍や3倍の賃料になることもあります。土地勘のあるエリアと東京で出店したいエリアそれぞれで、広さ・賃料・駅徒歩などの条件を揃えて検索してみると違いが分かりやすいので、東京については知識がまったくないという方は試してみると良いでしょう。
テナント料の予算上限は事前に決めて物件探しに入ると思いますが、予算に合う物件は予想していたよりも手狭になってしまう…ということもあると思います。そういった時には店舗デザインの工夫でカバーできることもありますから、ぜひデザイン設計事務所、内装デザイナーなどへ相談してみてください。
また、厚生労働省が発表した各都道府県の令和4年度地域別最低賃金額によると、東京都の最低賃金時間額は1072円(令和4年10月1日発効)となっており、47都道府県で最も高額です。もっとも低い金額の県と比べると200円以上の開きがあります。店舗スタッフを雇う際の人件費も他のエリアより高くなるという点は意識しておきましょう。
東京出店のデメリット 競合店舗、ライバルが多い
東京は人口密集地域で、乗降者数の多い駅も複数存在しています。飲食店のターゲットとなる人口も多く、それぞれのエリアに様々な飲食店がひしめき合っている状態です。既存の競合店舗が多数出店しており、後続も出てくる中で戦っていくことになるのが東京での飲食店開業です。ライバルが多い点はデメリットといえるでしょう。
ライバルが多いと、提供する飲食物だけでなく、店舗デザインの面でも趣向を凝らしたお店が増えます。通りがかった方の目を引きつける外観デザイン、写真や動画をSNSにアップしたくなる内装デザインなど、店舗デザインにも手を抜けません。
東京出店時の知識 エリアでターゲット層が大きく異なる
東京の特徴として、ビジネス街、学生街、観光地、高級住宅地といったように、エリア・駅によって大きくターゲット層が異なる点が挙げられます。多くの人が集まる東京という場所だからこそ、出店エリアの選定がとても大切になってきます。
サラリーマンをターゲットとする飲食店の場合、丸の内・大手町・有楽町、新橋、西新宿といったオフィス街が視野に入ってくるでしょう。学生をターゲットにしているなら大学の多いエリアで検討する必要がありますが、男子大学生が多い大学や女子大など、大学ごとに学生の違いもある点には注意が必要です。
どのエリアに出店するかによって、エリアに合った店舗デザインやターゲットに受ける店舗デザインは違ってきます。事前準備をしっかりとして、開業する地域を選定しましょう。
もし可能なら、開業エリアの目星をつけた後、実際に足を運んでみることを強くおすすめします。時間帯ごとに街の雰囲気が変わることもありますから、肌で感じてみることはとても有益です。実際に出店したいエリアを歩くことで、ライバル店のリサーチもできます。
東京出店時の知識 平日と土日祝日で人の流れが大きく異なる
こちらも東京の人口の多さに一因があると言えますが、ターゲット設定に合ったエリアや駅に出店した場合、平日と土日祝日・週末で大きく人の流れが異なることが多々あります。
オフィス街であればとても分かりやすいですが、平日、大勢の人が仕事の行き帰りやランチに飲食店を利用する街であれば、週末になると大幅にビジネスパーソンが減ります。この点を踏まえて店舗運営の計画を立てる必要があります。
平日と週末で客層が異なり、例えば土日にはカフェ利用者が増えるなら土日用のメニューを作って営業時間も一考するといった策が考えられます。会社員のお客様がほとんどになるようなら、店休日を土日祝日に設定して平日の売上で収益を上げるといった方針にすることも考えられるでしょう。
営業時間や店休日はスタッフを雇用する上でも重要ですので、あらかじめ考えておきたいところです。
東京出店時の知識 補助金・助成金をチェック
こちらは東京都限定の知識というわけではありませんが、補助金・助成金が使えるか(申請できるか)は必ずチェックしましょう。補助金・助成金は国が実施するものもありますが、地方自治体による支援もあります。基本的にいつからいつまでと期間が設定されていたり、予算上限金額に達すると終了するものですので、注意が必要です。
補助金・助成金への申請は、様々なことを急ピッチで決定していく店舗開業の中で「しまった!忘れていた」ということが起こりやすいものです。ですから、定期的にチェックするくせをつけておくと吉です。開業後も、店舗改装や新規設備の導入で活用できる補助金・助成金が見つかることもあるためです。
補助金・助成金は申請にあたって様々な条件がありますし、必ず貰える・借入できるとは限りません。個別のガイドラインもそれぞれ異なりますので、活用できそうな補助金や助成金を見つけたら、早めに詳細を把握して動くようにしましょう。
東京に飲食店を出店するなら、エリアごとの特徴を押さえておく
エリアごとの特徴を押さえておくことで、出店エリアの目星もつけやすく、競合調査もしやすくなります。ではここで、東京の主要エリアからいくつか、オフィス街を中心に特徴をまとめていきましょう。
新宿
新宿は東京都内で最も大きなオフィス街の1つ。多くの大手企業や金融機関が本社や支店を構えており、ビジネスの中心地として非常に賑わっています。また、ルミネエストや新宿アルタ、レディースファッションに特化した新宿ミロードといった商業施設や、伊勢丹新宿店などの大型デパートも多く存在しています。
新宿駅周辺は交通の要所でもありますので、多くの人々が利用するため飲食店やショッピング施設も充実しています。
丸の内
東京のオフィス街として、丸の内の名前を真っ先に挙げる人も多いのではないでしょうか。東京都内で最も伝統的なオフィス街の1つで、多くの大手企業や金融機関が本社を構えているエリアです。
丸の内周辺には高級なレストランやショッピング施設も多くあり、ビジネスエリアとしての活気と上品さが共存しています。ビジネスパーソン向けの飲食店出店を考えているなら、チェックしておきたいエリアでしょう。
渋谷
オフィス街と若者文化の街の両方の顔を持つ渋谷。東京都内での飲食店出店先としても、非常に人気のあるエリアです。
クリエイティブな産業や若者が集まり、スタートアップ企業やテクノロジー企業が多いことが特徴。渋谷ヒカリエや渋谷スクランブルスクエア、SHIBUYA109、渋谷PARCOなどの複合商業ビルがあり、仕事でも遊びでも人が集まるエリアです。観光客も非常に多いですね。
若者向けの個性的なファッションや流行の店が多数並ぶ竹下通りも渋谷(原宿駅)にあります。
六本木
六本木は国際的なビジネス街として知られているエリアです。多くの外国大使館や国際機関が集まっており、華やかでリッチなイメージのある街だと言えるでしょう。またバーやクラブの立ち並ぶ繁華街や、六本木ヒルズや六本木ミッドタウンなどの大型複合施設もあり、ショッピングやエンターテイメントの拠点としても人気です。
東京の飲食店の店舗デザイン事例をまとめてチェック
店舗設計施工.comでは、地域と業種で絞り込んで店舗デザイン事例をチェックできます。写真付きで分かりやすく、事例から手掛けた会社情報にもすぐアクセスできるのでとても便利。居酒屋、ダイニング、カフェ、ラーメン屋、焼肉店、イタリアン・フレンチなど、飲食店の中でも細かく探せます。
施主会員登録を行えば、店舗デザイン事例をお気に入り登録しておいて比較検討するのも簡単です。ぜひこちらからチェックしてみてください。
東京で開業する時押さえておきたい、店舗デザインのツボ
店舗デザインのトレンドが東京だけ永続的に違う、ということはありません。ただし、流行を押さえた店舗デザインは非常に重要になります。東京は飲食店の数が多く流行の最先端が集まるエリアのため、店舗デザインにおいてもトレンドを意識することは有利に働くでしょう。
店舗デザインとは若干方向性の違う話になりますが、提供する飲食物にトレンドを取り入れることも大切です。東京という土地で飲食店をオープンさせるなら、流行に対するアンテナは常に張っておきたいですね。
東京で飲食店を開業する時、忘れてはならないのがコンセプトをしっかりと立てること。基本の基本ですが、確かなコンセプトに基づいて店舗デザインを作り上げていくことで、他店舗との差別化にもつながります。
当コラムではこれまでにいくつか、店舗デザインや内装デザインの基本的なポイントにフォーカスした記事をお届けしてきました。次の記事などはベーシックな知識が詰まっていますので、ぜひチェックしてみていただければと思います。
飲食店の内装をおしゃれにしたい時おすすめの、資料の集め方とデータのまとめ方
「こんなコンセプトで店舗デザインを行いたい」という要望を明確に提示することで、デザイン設計事務所や建築設計事務所からの提案の精度もぐっと上がります。トレンドは意識しながらも、ぶれない軸をもって店舗デザインに臨んでください。
まとめ
東京での飲食店開業に関する、エリアごとの特色や店舗デザインのポイントをまとめました。
経済規模の大きな東京という街だけに、かなり長い記事になってしまいました。本当はもっと細かくエリアを分けてお届けできればいいのですが、とても紹介しきれる分量にはおさまりそうにありません。今回ご紹介した内容を応用していただいて、出店をお考えのエリアについてリサーチしてみていただければ幸いです。
店舗設計施工.com
記事の監修・執筆者
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株式会社ライフワン 古川原
保有資格:
・2級建築士/
・第2種電気工事士/
・一般建築物石綿含有建材調査者/
・石綿作業主任者店舗設計施工.com運営担当の古川原です。施主様、店舗デザイン・内装工事・建築工事会社様にも満足いただけるよう皆様をサポートさせていただきます。
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