クリニック・病院の内装デザインの条件。診療科別のポイントや色彩の持つ心理効果について解説

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記事の監修・執筆者:古川原

クリニック・病院の内装デザインの条件。診療科別のポイントや色彩の持つ心理効果について解説

ひと昔前の病院は、なんとなく暗い・冷たいといった印象があったかもしれません。ですが最近のクリニックは内装もおしゃれで、高級ホテルやサロンのような雰囲気のところもあります。

本記事ではクリニック・診療所の安心できる内装デザインについてポイントごとにまとめました。病院ならではの配慮すべき点や、色彩の持つ心理効果についても解説しています。

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クリニック・病院の内装デザインに求められる条件

病気やケガの人が訪れるクリニックや診療所には、ネガティブなイメージを持っている人が少なくありません。また、患者様も不安な気持ちで診察に来ますので、その不安を少しでも和らげる必要があります。
クリニック・診療所の内装デザインは下記のようなポイントに気を配りましょう。

1.清潔感をキープできる内装

信頼できるクリニック・診療所は清潔感が命です。おしゃれな内装にこだわるあまり、清掃がしにくいデザインにしてしまっては元も子もありません。
内装はきれいな状態を維持しやすいかどうかに着目し、デザイン性だけでなく防汚性や耐久性にも目を向けましょう。
特にトイレが不衛生だと診療所全体の評価を下げてしまうため、注意が必要です。床や壁に臭いが染み付きにくい素材を使ったり、感染症対策としてオート開閉機能や自動洗浄機能の付いたトイレを導入したり、手洗い器に自動水栓を取り付けるのもおすすめです。

2.明るい内装デザインでポジティブな印象に

ネガティブな印象を与えやすいクリニックや病院は、内装をなるべく明るいイメージでデザインするように心掛けましょう。
特に待合室は長時間過ごしても苦にならないように、天井を高くし開放的な空間に設計するのがおすすめです。壁紙や床材には明るめのカラーを取り入れ、照明も青みのある昼光色より温かみのある昼白色の方が好まれます。

3.柔らかい曲線で安心感を与える

受付カウンターや待合室のソファなど、曲線を取り入れた内装デザインで柔らかい印象に仕上げましょう。
直線はスタイリッシュで都会的な印象に見せたい場合には良いのですが、病院では冷たさやプレッシャーを感じさせてしまう可能性があります。
クリニックや診療所はなるべく丸みを帯びたインテリアで、優しく居心地の良い空間を演出してみましょう。

柔らかい曲線で安心感を与える

4.プライバシーに配慮する

クリニックや診療所では患者のプライバシーに配慮することも大切です。医師と患者様が話している内容が、待合室にいる人に聞こえてしまうようでは安心できません。
診察室や施術室の防音効果を高めるのと同時に、動線にも気を配りましょう。

5.バリアフリーへの対応

病院や診療所はバリアフリー法において、不特定多数の人が利用、または主として高齢者や障がい者等が利用する「特別特定建築物」に指定されており、2,000㎡以上の新築・増築・改築・用途変更する場合に「建築物移動等円滑化基準」に適合する義務があります
たとえば、出入口には段差を設けない、廊下は幅120cm以上にする、スロープの勾配(こうばい)は1/12以下にするといった細かな基準が定められています。
2,000㎡未満のクリニックや診療所においても建築物移動等円滑化基準への適合努力義務が課せられていますので、クリニックの設計デザインを考えるときは、こういった法令にも目を向けましょう。

参考:国土交通省「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」[PDF]

色の持つ印象を利用する

クリニック・診療所の内装に使う色によって与えるイメージが変わりますので、病院をどのような印象に見せたいかを考えてメインカラーを決めましょう。

1.グリーン系の内装

グリーンは自然を連想させることから、親しみやすさや安心感、リラックス効果を与えたいときに最適です。介護施設や高齢者向けの施設などでもよく使われています。
グリーン系を用いるときは、濃いグリーンだと重たい雰囲気になってしまうため、新緑のような柔らかいグリーンがおすすめです。

グリーン系の内装

2.ブルー系の内装

ブルーは清潔感や信頼感を与えたいときに最適です。ただし清涼感もあるので、あまりブルー系だけでまとめてしまうと冬は寒々しいイメージになってしまいます。
ブルー系を用いるときはワンポイントにとどめるのがおすすめです。

3.ブラウン(ナチュラル)系の内装

木のイメージからぬくもり感や温かみを感じさせる色です。安心感やリラックス効果もあり、病院のインテリアにはぴったりでしょう。
明るいブラウンだと優しい印象に、ダークブラウンならシックで落ち着いた印象にまとまります。

4.ピンク系の内装

可愛らしさや優しさ、幸福感を与える色ですので、産婦人科やレディースクリニック、小児科などに向いています。淡いピンクは緊張をやわらげリラックスさせる効果があるため、クリニックのインテリアに適しています。

ピンク系の内装

5.ホワイト、グレーなど無彩色の内装

今も昔も病院といえば白が使われるほど定番の色です。白は清潔感があり、他の色と組み合わせても違和感なく馴染みます。グレーは白に比べて落ち着いた印象を与える色で、同じく定番カラーです。
無彩色を使った内装は無難にまとまりますが、それだけだと寂しい印象になりがちですので、他の色をポイント使いするのがおすすめです。

診療科別の内装デザインのポイント

最後に診療科別の内装デザインのポイントをご紹介します。

1.内科

幅広い年齢層の患者様が訪れますので、多くの人に好まれやすいシンプルなデザインや、木目を生かしたナチュラルなデザインがおすすめです。
また内科は患者様が多いため、診察室と処置室を近づけ、回転率が上がるように設計するのが望ましいでしょう。

2.外科、整形外科

ケガをした人がスムーズに移動できるように、診察室や処置室のスペースを広く取るなどバリアフリーを意識した内装デザインを心がけましょう。

3.小児科

子どもに恐怖心を与えないように、柔らかい色使いや動物のモチーフを用いるなどして楽しい空間を演出します。また子どもは長時間待つことができないため、DVDを鑑賞したり、絵本やおもちゃで遊べるコーナーを作ると効果的です。

4.歯科

1人の医師が複数の患者様を同時に担当することが多いため、動線を意識した内装デザインにすることがポイント。ただし治療中の姿はほかの患者様から見えないように、治療スペースを個室化したり、間に観葉植物を置くなどして視線を遮るようにすると安心できるでしょう。

まとめ

病院・クリニックの内装デザインを考える上でもっとも大切なことは患者様の気持ちに寄り添うことです。患者様が安心して診察や治療を行えるように快適な空間をつくることが重要です。

病院の内装もデザイン性が高くなり、個性的でおしゃれなクリニックも増えていますが、清潔感や安心感、バリアフリーなど外してはいけないポイントが多数あります。この記事がクリニック・病院の内装デザインを考えるヒントになれば幸いです。

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記事の監修・執筆者

  • 株式会社ライフワン 古川原

    保有資格:
    2級建築士
    第2種電気工事士
    一般建築物石綿含有建材調査者
    石綿作業主任者

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